2019年11月23日、失効目前だったGISOMIAは、韓国政府の破棄撤回の表明により、延長されることになりました。アメリカからの圧力が効いたともいわれていますが、そもそも韓国はどうして「協定の破棄」という、強硬な手段に出ようとしたのでしょうか。〈2019.11.25追記〉
〈前記〉2019年8月22日、悪化の一途をたどる日韓関係にさらに衝撃が走りました。韓国政府がGSOMIAの破棄を表明したのです。これまで韓国は、日韓関係に過剰に反応し、過激な国民世論を政府の支持へつなげるため、非常識で無礼な外交措置を繰り返してきました。しかし今回の措置は、日韓関係の応酬などという生ぬるいものではない、韓国政府のしたたかな本音が見え隠れしているのです。いったい、韓国政府の目指していることは何なのでしょうか。そして日本が取るべき対応とは。
ブログ主(ドルーロにゃん)が、今回も政治経済を考えます。
よろしくにゃ
なぜ韓国大統領は反日なのか → 自分の安全のため
韓国というのは、とても民主主義が未熟な国です。
大統領が引退すると、次の政権は前大統領の力を徹底的に排除しようとします。具体的には、あらぬ罪を着せて刑務所へ投獄したり、命を狙ったりまでもするのです。前の大統領パク・クネは、客船の沈没という民間企業の責任となる事件の罪を、何故か着せられることになって投獄されました。その前の大統領イ・ミョンバク、さらにその前の大統領盧武鉉(ノムヒョン)も、引退後にワイロの罪を着せられ、ノムヒョンに至っては謎の死(自殺とされている)を遂げています。
また、政治決定も簡単にくつがえってしまいます。最近では、1965年に日本と結んだ日韓基本条約に違反し、補償も済んで解決済みとされた徴用工問題について、韓国の最高裁判所が日本企業への賠償命令を下したことは記憶に新しいことです。
このように韓国という国は、国民の世論やときの政権によって、民主主義の常識が簡単にねじ曲げられてしまいます。ありもしない罪をでっち上げたり、国際法を平気で違反する国です。こんな国で、大統領が引退後、平穏に生きていくためには、方法は一つしかありません。
それは、国民世論にうける、「反日」姿勢を貫くことです。外国と敵対して国を守ろうとするリーダーは頼もしく見えます。だから、韓国の大統領は、国際法に違反してでも、70年以上前の日本による占領を未だに蒸し返して、国民世論をあおり、日本と対立する大統領を演じることで、支持を集めるのです。こうするしか、大統領は引退後の身の安全を得ることができないのです。
しかし、今回のGSOMIA破棄は、もっと複雑な理由が絡んでいます。ムンジェイン政権が目指す、「危険な未来像」にその理由があるのです。
日米韓同盟から離れようとするムンジェイン
日米韓軍事協定の意義
東アジアは、日米韓VS朝中露、という、2チームの対立構造でできています。日米韓同盟は、中露朝チームの脅威に対抗するために、数々の条約や取り決めを結んでいます。GSOMIAもそのひとつで、日韓の間で軍事情報を共有しようというものになっています。
例えば北朝鮮からミサイルが発射された場合、韓国軍による発射位置の情報と、自衛隊のイージス艦による落下位置の予想といった情報が組み合わされ、ミサイルに効果的に対処することができるのです。
この取り決めを破棄するということは、日米韓の軍事連携に支障をきたすということであり、日韓両国の国防に損出がでるということになります。つまりこの措置は、日韓の対立の応酬などという生ぬるいものではなく、国の安全や同盟の維持にかかわる決定を、韓国が下そうとしたということなのです。
日米韓の連携が崩れて喜ぶ国とは?
相手のチームの連携が崩れれば、こちらのチームに有利にはたらく、というのはスポーツでも国際政治でも同じ。だから朝中露チームにとっては、日韓関係の悪化はもちろん、日米韓の軍事協定が破綻することは好都合です。
日米韓チームの一員である韓国は、自らその連携に亀裂をもたらし、中露朝チームを喜ばすような措置をとりました。そう考えると、自然と韓国ムンジェイン政権の狙いが見えてきます。
それはズバリ、韓国を日米韓同盟から離脱させ、中露朝チームに仲間入りさせること、もしくはその素振りを見せることです。
もし中露朝チームに加入すれば、隣国中国の経済発展の恩恵を受け、さらに北朝鮮と悲願の国家統一を果たし、そして北朝鮮のもつ核ミサイルまで手に入れた強国になる、ということも夢ではないからです。もちろん現実は甘くなく、北朝鮮主導の国家統一などすれば、韓国の大統領や政権幹部、政治家などはその地位を失い、自由主義・民主主義は終わり、北朝鮮式の政治・経済が韓国にも及ぶことになるのです。
ムンジェイン大統領は、そうなったとしても北朝鮮と統一したいのか、もしくはその素振りを見せることで経済大国中国と接近しようとしているのかもしれません。
その証拠といえるのが、自衛隊機へのレーダー照射問題。日本海を飛行する自衛隊の航空機に対し、友軍である韓国の軍艦が、ミサイル発射用のレーダーを照射(ロックオン)した事件です。これはれっきとした敵対行為であり、日韓両軍が友軍であることをくつがえす意味を持っています。しかもこのとき、その韓国軍艦は北朝鮮の漁船へ、瀬取り(国連の制裁決議に違反して、北朝鮮に密輸)をしていて、それを自衛隊機が発見したためにレーダー照射したのではないか、とも言われています。
中露朝チームにすり寄ることが目的だとしたら、これらの数々の反日的な措置にも納得がいきますね。
関連リンク:韓国の反日の理由と、北朝鮮の暴走の理由は?朝鮮半島の定められた宿命に原因がある?
日本にとっては、これまで南北間の38度線にあった中露朝チームとの最前線が、対馬海峡まで迫ってくるとしたら、大変な脅威となるのです。
破棄を撤回した理由と、その意味
〈追記2019.11〉協定の失効直前で、韓国政府は破棄を撤回しました。これは、韓国の中にはまだ、日米韓同盟に残るべきだという意見が根強いからだ、と考えられます。アメリカの圧力に屈しただけだ、という見方もありますが、それでもアメリカに従ったということは、既存の同盟を中露朝同盟より優先したということです。
しかし破棄撤回のあと、韓国側は「日本が謝罪したからだ」とか、「韓国が譲歩したという日本の言い分は嘘だ」などと、また非礼な外交をしています。これも、反日を貫くことでしか「強いリーダー」を演じることができない、韓国大統領のジレンマによるものです。もちろん、我々の感情的には納得がいくものではありません。しかし、「極東の安全」という意味では、韓国が日米韓同盟にぎりぎり残ったという意味では、いい結果となったので、よしとすべきでしょう。
日本はどうする
韓国の感情的な外交政策が原因で、日韓関係は悪化しました。だんだんと国民の間でも互いに敵視し、相手を下したいという世論が高まっています。日本政府は売られたケンカは買わないようにしていますが、国民としては韓国のこれまでの無礼を羅列し、論理的に反撃に出たい気持ちはあります。
韓国に反論するなら
例えば、外交的な無礼行為の代表といえば、日韓基本条約や財団の創設で解決済みだったはずの徴用工問題や慰安婦問題の蒸し返し。蒸し返すことじたいが条約違反だし、慰安婦へ補償する財団を韓国側から一方的に解散しておきながら、まだ日本に謝罪や賠償を求めています。しかも、韓国は日韓基本条約で、日本から多額の戦争賠償金代わりとなる資金援助を得て、高度経済成長「漢江(はんがん)の奇跡」を成し遂げたのです。
さらに韓国はベトナム戦争派兵時に、現地で多数の強姦をはたらいたため、そのこどもたち「ライダイハン」が多数存在し、ベトナムで問題となっています。自分たちの軍による性犯罪を棚上げし、慰安婦(職業として給料も貰っていたといわれる)を問題化しているのです。
日本の取るべき戦略
このことをはっきり述べて反撃すれば痛快ですが、韓国はさらに反日姿勢を強めるでしょう。東アジア全体という視点で考えると、日韓が対立すればするほど日本の国防に損出が出かねません。かといって韓国の横暴に、ただひたすらガマンしているだけでは、親北朝鮮のムンジェイン政権はますます勢いづき、中露朝チームに有利に働き続けるだけになってしまいます。
日本が取るべきは、韓国国民に、東アジアの危機とムンジェイン政権の真意を気づかせ、親北朝鮮のムンジェイン政権を倒すようにはたらきかけることなのです。そして日米韓の連携を再強化し、中露朝チームの脅威に備えるのです。日本のトップや高官が、韓国に対して「北朝鮮に国家が吸収されてもいいのか」「自分の政府が非礼をはたらきつづけ、国際的信用を失っているぞ」というメッセージを発信するべきなのです。
日韓対立を喜ぶのは、「あの国」も同じ。
日本にとって、忘れてはならないことはもう一つあります。日本にとっての強大な同盟国であり、「親分」でもあるアメリカ。そのアメリカも、日本が苦しんで喜ぶ国だということです。
もちろん、アメリカとしては、日米韓同盟が弱体化し、中露朝チームが勢いづくことは望んでいません。そもそも、アメリカにとっての利益とは何でしょうか。それは、日本や韓国に軍を駐留させて影響力を保ち、アメリカが主導する世界経済下で貿易をさせることです。
だから、韓国で中露朝チームの影響力が増し、アメリカの影響力が落ちることは望んでいません。しかし韓国が中露朝チームに接近すると、日本では逆にアメリカの影響力が強まります。中露朝チームの影響力が増すことで、自国を守る軍すら持っていない日本は、アメリカをより一層頼りにするしかなくなるからです。そうすると、日本を脅威から守ってあげる代わりに、自国に有利になる貿易条件を突き付けてくる、というのがアメリカのいつものやり口なのです。
関連リンク:アメリカに2度負けた日本 〜どうして日本は衰退してしまったのか~
折しも、日米の貿易交渉が開始されました。おそらく、日本に不利な貿易条件を突き付けてくるでしょう。そうなっても日本の選択肢は限られていて、アメリカの要求をうのみにするか、韓国と同じように中露朝チームにすり寄ることしかありません。後者を選ぶとアメリカは焦るでしょうから、ある程度譲歩を引き出すことができるかもしれません。同時に、尖閣諸島や北方領土で対立する中露に借りができるということは、今後の中露との外交交渉では不利に働くかもしれません。
結局、どの選択肢も日本にとっては苦しいものです。
日本がアメリカとも、中国とも、ロシアとも対等に渡り合っていくためには、自国を守れる強力な軍隊が必要なのと、「防衛だけに限らないぞ」という緊張感を与えるため、憲法9条改正も必要になってくるのです。
今回のドルーロにゃんの解説はここまで。
この国の衰退を食い止めたい、ニッポンを復活させたい、経済って何なのかゼロから知りたい、という思いから、ドルーロにゃんはこのブログで政治経済を学んでいきます。
日本の衰退を食い止める方法は「ひとりでできる経済政策」で解説しています。
どうして日本は衰退してしまったのかの4回シリーズや、キホンのギモン解説集も見てみてください。
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