アメリカのトランプ大統領は、日米安全保障条約の破棄に言及しました。日米安全保障条約とは、日本をアメリカが守ってくれる、という軍事同盟としての意味があります。軍を持たない日本にとって、アメリカは日本を守ってくれる存在であるのに、アメリカが一方的に破棄するとしたら、日本にとっては危機です。
いったいトランプ大統領は何を狙っているのか、そして日本はどうすればいいのか考えてみます。
ブログ主(ドルーロにゃん)が、今回も政治経済を考えます。
よろしくにゃ
条約の破棄が目的ではない
トランプ大統領は威勢よく「条約の破棄」と言いましたが、実は条約を破棄したいわけではないのです。なぜでしょうか。
日本を支配するための安保条約
太平洋戦争で日本はアメリカに戦争を挑んだものの、空襲、原爆、沖縄の占領などで大敗を喫し、国土は荒廃しました。アメリカは日本が二度と逆らえないように、軍隊を持つことを禁止します。その代わりにアメリカが防衛を担うことになりました。それが、憲法9条と日米安全保障条約として明文化されました。
しかし戦後、日本に戦力を持たせないというアメリカの目的は薄れ、やがては「日本を守ってあげている」ことと引き換えに、あらゆる不当な要求を日本につきつけてくるようになったのです。
つまり日米安全保障条約とは、アメリカが日本を逆らわせないようにし、都合よく支配するための条約なのです。
この条約をないことにしてしまうと、日本は防衛のため、自分で軍隊を持つかもしれません。するとアメリカに守ってもらう必要もなく、アメリカからの不当な要求を鵜呑みにする必要もなくなります。
日本を搾取するための「おどし」
ですから、アメリカにとって、「条約の破棄」は本意ではないのです。本当の目的は、条約の破棄をちらつかせることによって、日本から有利な条件を引き出すことにあります。
日本にとって、日米安全保障条約は生命線です。北朝鮮や中国の脅威に立ち向かうためには、アメリカの強大な軍事力が欠かせないからです。
一方でアメリカは日本に貿易で不満を抱いています。日本からアメリカへの輸出が多いのに対し、アメリカから日本への輸出が少なく、慢性的にアメリカは貿易赤字の状態にあります。
そのため、1960年代から、「親分」のアメリカが「子分」の日本にケンカをふっかけ、日本からの輸出を削減させる、といった圧力がなんども繰り返されてきたのです。それを日米「貿易摩擦」といいました。
今回の「条約を破棄するぞ」というおどしも、ふっかけてくるケンカの一つであって、日本の輸出を減らしてアメリカからの輸入を増やす、という日本の譲歩を狙ったものなのです。
したがって、決して条約を破棄するつもりなどないのです。アメリカにとって日本は、貿易の利益を吸い上げる、いい「カモ」なんですから。
関連リンク:アメリカに2度負けた日本 〜どうして日本は衰退してしまったのか~
日本はどうする
アメリカの不当な要求を呑み続けるのはそろそろ限界です。日本が右肩上がりだった時代ならまだしも、これから衰退していく日本は、アメリカから搾取され続けるわけにはいかないのです。戦後70年もの間、アメリカに「占領」され続けている日本は、いよいよ独立しなければならないときなのです。
アメリカに頼らずに日本が生きていくには、自分で国土を防衛できる軍隊をもつことです。そして、「日本を攻めてきたら戦争になるぞ」という覚悟を見せつけるため、不戦をうたった憲法9条を破棄しなければなりません。
もちろん、そんなことをしたら戦争の危機は高まるでしょう。これまで日本は平和憲法のもと、危険を犯してまで、世界中で利益を追及するようなことはしてきませんでした。それでも繁栄できたのは、大国アメリカに追従し、アメリカが戦争によって獲得した利益のおこぼれにあやかってきたからこそです。
もしアメリカから本当に「独立」するなら、日本が自らの軍事力で、世界中の利益を獲得していかなければなりません。そこにあるのは「戦争」です。
戦争しないためにアメリカに媚び続けるか、戦争を覚悟してでも自立するか、そろそろ決断が必要な時期に迫っているのです。
今回のドルーロにゃんの解説はここまで。
この国の衰退を食い止めたい、ニッポンを復活させたい、経済って何なのかゼロから知りたい、という思いから、ドルーロにゃんはこのブログで政治経済を学んでいきます。
日本の衰退を食い止める方法は「ひとりでできる経済政策」で解説しています。
どうして日本は衰退してしまったのかの4回シリーズや、キホンのギモン解説集も見てみてください。
政治家や偉い人に任せず、日本の復活のために、ひとりひとりで行動を起こしましょう。そんな運動をブログからはじめていきます。
↑ブログ主のドルーロにゃん。ドルとユーロと円でできている。