ドルーロにゃん、政治経済を考える。

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岸田新総理の「新しい資本主義」って何?岸田政権で日本経済は崩壊する?

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岸田政権が発足しました。外交安保と経済に重点を置く姿勢を打ち出している新政権ですが、就任から連日のように株価は暴落しており、経済界の、政権に対する不安や失望が現れています。

岸田新総理の「新しい資本主義」は、アベノミクスとの対比のようにメディアではとりあげられています。岸田新総理に対する安倍氏の不満や、両氏の距離感が報道されることもしばしばあるなど、今までの政策からの転換を、強く印象づけられます。これらののことが、アベノミクスの終了と、それに伴う不況を連想させているようです。

しかしこの視点は必ずしも正しくはありません。岸田新総理の説明ははっきりしないところがあり、この「新しい資本主義」が、追加政策なのか、政策転換なのかが見えてくるまでは、日本経済の浮き沈みはわからないのです。

日本経済のゆくえを、今回も、ドルーロにゃんが考えます。

f:id:dolleuro-seikei:20190404181120j:plainよろしくにゃ

 

 

「新しい資本主義」の主旨は?

アベノミクスとは、金融緩和政策などのいわば「蛇口をあける」政策であり、そのカネをどこに回すかという「受け皿を用意する」ことはあまり考えられてはいませんでした。

その結果として、アベノミクスによって市中にあふれ出たカネは、中小企業や中間層家計に回ることなく、金融機関にとどまりました。それは金融投資へと向かい、結果として記録的な株価上昇へとつながったのです。

岸田新総理の「新しい資本主義」は、本人の説明を聞いてもいまいち方向性がはっきりしません。もし、アベノミクスに反発して「蛇口を閉める」政策だとするならば、これは日本経済へのカネの供給が減ることであり、景気後退は確実に避けらません。

f:id:dolleuro-seikei:20190404181139j:plainえ!

おそらくこんな大失政となるようなことはしないはずなので、「蛇口を開ける」政策を維持しつつも、供給したカネの「受け皿を用意する」ことで、中小企業や中間層にを豊かにする政策である、と信じたいところです。

〈2021.10.12追記〉市場の失望を反映して、岸田新総理は所信表明演説にて、金融課税の強化を実質的に先送りすることとなりました。主要政策を簡単に引っ込めてしまうことに対する、岸田新総理の資質を問う声は置いておくとして、ひとまずは「蛇口をしめる」ことはなくなりました。ただ、金融緩和を継続して「蛇口をあけつづける」かどうかは、まだわかりません。

 

中間層の拡大は効果的か

現在は世界的にも、分厚い中間層を作ることが、経済政策の潮流となっています。

経済の原動力は、GDPの7割を占める個人消費です。個人消費が活発になれば、企業の売上も上昇し、賃金や雇用も増加します。株を始めとした金融商品の高騰では、これらの効果は望めません。いまだに低調な日本経済が、このことを裏付けています。

リーマンショック後の各国の金融緩和も、行き過ぎを懸念してそろそろ引き締めに入ろうとしています。そんな情勢化では、経済を引き上げる要因は、個人消費しかないのです。

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こういった意味では、岸田新総理の「受け皿を用意する」という考え方は、理にかなっています。

f:id:dolleuro-seikei:20190404181120j:plainじゃあ安心だにゃ

問題はその中身。現金給付といったバラマキ政策は一時しのぎに過ぎす、分厚い中間層の形成にはなんの役にも立ちません。継続的に中間層を豊かにするには、最低賃金の引き上げを含めた、賃金の上昇政策が必要です。

 

アベノミクスはやめられない

安倍元総理は経済界に賃上げを求め、わずかな大企業に限られるものの、賃上げを実現させてきた経緯があります。

経済界が賃上げを受け入れたのは、大企業の業績が向上していたからです。世界経済の好調による部分は大きいものの、アベノミクスによる「好景感」というマインドが、個人消費や投資を促したことも見逃せません。

 

岸田新総理は中間層への「分配」を口にしますが、税制などを改めて分配を強化しようとしたところで、分配するための原資がたくさんなければ、これは成り立ちません。すなわち企業の業績向上は、あいかわらず重要なのであって、岸田新総理本人も「成長(=好景気)なくして分配なし」と認めています。

ですから、「アベノミクスへの反発」のようにメディアで取り上げられ、日本経済に「蛇口を閉める」ようなメッセージを与えてしまっていることは、経済にとってマイナス要因でしかないのです。

菅前総理の政策てまあった、携帯料金を下げて家計が楽にし、個人消費を喚起しようという政策は、一見理にかなっているように見えます。しかし、当の携帯電話会社としては業績悪化につなかるものでした。

富の分配のためには好況が必然的で、企業の業績向上を続けべく、「蛇口を空け続ける」必要があるのです。アベノミクスを放棄するのか、アベノミクスを継続しつつ「受け皿を用意する」のか、日本経済にとっては岸田新総理の意向を注視する必要がありそうです。

〈2021.10.12追記〉カネの「受け皿」は、金融機関ではなくて家計であるべきことは、上記のとおりです。しかしそれは、税制による分配や、給付金による一時的なバラマキではなし得ません。企業による継続的な賃金上昇が不可欠です。しかし所信表明演説では、賃金上昇のための政策について、具体的で効果的なものは示されることはありませんでした。なんなら、「成長すれば自動的に分配される」と言わんばなりで、期待はずれの方針となってしまいました、

 

本当の経済改革を達成するには

f:id:dolleuro-seikei:20190408181157j:plain好景気にはアベノミクスしか方法はないのかにゃ

そんなことはありません。好況を呼ぶには、日本企業が「世界に勝てる企業」になり、業績を上げ続ければ良いのです。

残念なことに、日本のお家芸であった家電・電機の分野は、業績悪化により、事業の撤退や海外企業による買収などで、完全に崩壊しました。テクノロジーの分野でも、その技術力も生産力も販売力も、アメリカや中国からは遠く離されてしまっています。海外市場での売上だけでなく、日本市場においても、海外メーカーのシェアは拡大し、日本メーカーのシェア縮小と業績悪化は留まることを知りません。

さらに悪いことに、世界中の市場を中国が席巻しようとしています。国家の繁栄のためにと、アメリカに挑戦して覇権を奪い、一帯一路の名のもとに、独裁国家による独善的な貿易体制を築こうとしているのです。アメリカを中心とした自由貿易体制が崩壊すれば、日本企業の未来はないでしょう。

 

これを打破するには2つ。

一つは、日本の企業文化を改め、生産性と独創性に富んだ文化を根付かせること。もう一つは、中国に経済的・軍事的に対抗して、中国の覇権奪取を阻止することです。ここまで踏み込まなければ、日本企業の成長など見込めないのです。

詳細はリンクにて解説しています。

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岸田新総理は中国と対抗できるのか

では、岸田新総理は中国と対抗できるのでしょうか。安倍政権から、自由で開かれたインド太平洋構想を引き継ぐ、茂木外相や岸防衛相が留任し、経済安保の担当も新設されたことから、期待はできます。しかし問題は、いまの日本経済に中国と対抗できる体力があるのか、自民党は押し切れるのか、という点にあります。

〜執筆中〜

 

 

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