ドルーロにゃん、政治経済を考える。

ドルーロにゃんが、イチから政経を学んで、ひとりで政策をやってみるブログ。

政府の権限強化は必要なのか。弱い日本の、外交、産業、コロナ政策は転換できるか。

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日本政府の失政が止まりません。コロナ対策においては、感染拡大を止められずに、爆発的な第5波を招いてしまいました。産業政策においては、日本の得意とした電子・機械分野での衰退が加速し、多くの事業が海外企業に買収され続けているのに、政府は無策のまま。経済においては、貨幣をばらまき続けているというのに、金融投資にのみ使われるだけで、国民や企業のもとには還流されてきません。外交では、中国の世界進出と発展に抗うことができず、相対的に日本の衰退が深刻になるばかりです。

これらの原因はなんでしょうか。自民党が悪いのでしょうか。菅総理が悪いのでしょうか。いえ、決してそうではありません。本質はそこではないのです。政権交代をしても無駄です。

問題は、総理大臣、内閣、政府の権限が弱いことにあります。総理や内閣が、国家全体のため、社会全体のために「正しい」と思った決断をしようにも、あらゆる方角から邪魔が入り、その決定が捻じ曲げられたり、うやむやにされてしまっていることが、相次ぐ失政の原因なのです。あるべき政府の姿を、今回もドルーロにゃんが考えます。  

 f:id:dolleuro-seikei:20190404181120j:plainよろしくにゃ

弱い国家とコロナ対策

コロナの感染を止めるには、強烈なロックダウンが効果的であろうことは、誰にもわかることです。2週間程度、社会経済活動を完全に停止してでも、感染のきっかけである人との接触を完全に断てば、一旦は感染者を減らすことができます。

にも関わらず、政府がロックダウンに踏み切れない理由は、2つあります。

ひとつは、経済や生活への打撃です。経済活動を完全に止めれば、日本のすべての企業の収益が悪化し、投資の抑制、経済規模の収縮、賃金や雇用の悪化へとつながります。たしかにこれは、国家の判断としては避けたいものでしょう。

しかし考えてみれば、現在のように、ずるずると緊急事態宣言を引っ張っている状態も同じではないでしうか。飲食や観光産業の活動を抑制している時点で、経済や生活への悪影響は発生しているのです。それならば、短期間のロックダウンにしたほうが、まだ悪影響は小さく済むのです。(もちろん、感染状況に応じて、ロックダウンと解除を繰り返すことにはなりますが)

しかしながら、そう簡単にロックダウンできない、という問題が2つ目の理由です。ロックダウンとは、外出を制限することであり、それは個人の自由を縛る行為でもあります。緊急事態宣言を初めて発することになる2020年春、野党からは「私権制限だ」として緊急事態宣言に反対する声がありました。この時でさえこうなのだから、ロックダウンとなればより強い反対をするでしょう。

普通に考えれば、脅威から社会と国民を守ることのほうが、「私権制限」である外出の制限よりも、圧倒的に優先されるべきものです。しかし野党は政府批判をしたいがために、反対を繰り返し、マスコミはそれをとりあげ、一定数の国民はそれを信じてしまうのです。

 

なぜ政府は弱いのか

こうして総理や内閣は、大衆の目を伺ってばかりで、社会のために「正しい」はずの決断が下せなくなってしまうのです。

総理の足を引っ張ったのは、野党だけではありません。仲間内の自民党からも足を引っ張られました。感染源となる飲食店への時短要請のため、卸売業者や金融機関からの働きかけを要請しましたが、これは業界からの大反発にあい、すぐに撤回するに至りました。第5波の爆発的な感染を防ぐには、「正しい」判断であったにも関わらず、一部の業界と、それにつながる自民党議員からの反発に屈してしまったのです。

 

政治家は、高い志を持っていても、選挙に勝てなければただの人。その志を実現することはできません。したがって政治家と政党は、選挙に勝つために、支持者や世論にウケる言動をとることは必然的なことです。しかし、そうして大衆の目ばかり気にしているうちに、高い志は何処かに行ってしまうようです。なぜなら、何十年先まで日本を繁栄させたいと思っても、何十年も政治家で居続けられるとは限りません。またたとえ総理大臣に上り詰めても、仲間内の議員たちはみな、世論や支持者の目を気にしてばかりで、実現すべき政策すら邪魔されてしまうのです。

そんな大衆ウケを狙った意見など無視して、総理大臣は正しい政策を実行すればいいのですが、残念ながらそうも行きません。政府批判ばかりする野党と、長い与党生活で業界と密接になった自民党議員、これら全員を敵に回したら、あっという間に政権は崩壊してしうのです。国民だけは味方につけようと思うと、結果的に総理大臣が大衆ウケを狙った政策を実行するという、本末転倒なことになってしまうのです。(携帯代がどうたらこうたら。。。)

 

国際戦略を持たない日本

外交、産業で日本が敗北を続けるのも、弱い政府に原因があります。アメリカや中国はこの点で非常に戦略的ですが、一方の日本には、戦略など見受けられません。

安倍前総理は「自由で開かれたインド太平洋」をうたい、対中包囲網を形成しようとました。一方現政権は、中国と対決する気があるのかないのか、態度を明らかにしていません。つまり、日本は外交政策があやふやなままで走り続けているのです。

この原因は、自民党の支持層にあります。日本経済は中国経済と密接であることから、自民党の支持母体である産業界は、中国との敵対を望んでいないのです。長期的に見れば、覇権的な中国が、日本の貿易を阻害するようなことになれば、産業界にとっても打撃であることは明白です。しかし、現在の利益を優先する産業界と、その支持を受ける自民党は、中国との対抗に舵を切ることができないのです。

 

産業の海外政策も無策なままです。バブル崩壊後の長い平成不況にあっても、1億人を超える国内市場がある限り、電気機器産業は利益を上げることができていました。産業界はこれに満足していたため、政府も国を挙げての対外産業戦略など構築していませんでした。せいぜい、発展する中国を相手にすれば、もっと利益が伸びるだろう、という程度の見込みだったのです。

しかし、あっという間に中国、韓国、台湾などの新興国の産業は発展しました。日本の電気機器は中国でシェアを獲得できず、一方で日本市場においても、日本の電気機器製品はこれらの国の製品に駆逐されてしまったのです。

国力も乏しく、国内市場も小さい台湾や韓国は、外国で利益を上げることだけを目指して、電気機器、電子機器産業を育ててきました。つい最近まで発展途上国だった中国は、日本を始めとした外国企業をどんどん誘致し、その技術を模倣して自らのものとしました。世界の覇権を握ろうと躍進する中国は、今や技術力トップのアメリカをも脅かし、世界中の市場から利益を集めようとしているのです。

 

強い政府を作るために

日本の政治家も官僚も、こういった結末になることは多少は予期できたはずです。それでも、その対策に取り組むことができませんでした。それはこれまでの政府が、大衆の目ばかり伺う、弱い政府だったからです。だからこそ、今後日本が戦略的になり、「正しい」判断が下せるようになるには、長期的に安定した政権による、強い政府が必要となってくるのです。

民主主義国家のうち、強い政府を実現している国は、大統領制をとっていることが多いです。国のトップを国民が直接選ぶ大統領制は、議員が選ぶ首相とは異なり、トップである大統領は、周りの議員の目を伺うことなく、あらゆる決定を下すことができます。一方、日本のような首相は、身内である議員を敵に回したら、いつでも首相の座を引きずり降ろされてしまう可能性があり、思い切った決断を下しにくいのです。

もちろん、大統領であっても、政策の実行にあたっては法律が必要となり、法律の制定には議員の賛同が必要となります。ですから大統領が気に食わなければ、法律に反対することもできます。しかし国民の支持を得て当選した大統領に対して歯向かうことは、国民の意見に反することであり、国民の支持によって当選した議員がしづらいことなのです。

 

ただ、今の日本にすぐに大統領制を実現することは不可能でしょう。憲法から法律まで、あらゆる整備に時間がかかるし、そもそも、力を失うことになる国会議員の賛同を得られるとも思えません。

では、今すぐに強い政府を実現するにはどうすればいいか。それは国民の強い支持を得ることにつきます。総理大臣のまわりに、コロナ対策としてのロックダウンや、外交政策として中国との対決に反対する議員はたくさんいます。しかし、それを上回る世論の賛成があれば、総理大臣は強い力を得ることになります。多少の反対を押し切ってでも、思い切った決断を下すことができるようになるのです。

中高年や高齢者はマスコミを鵜呑みにして、野党につくかもしれません。経営者や業界人は、総理に反対する自民党議員を応援するかもしれません。だからそこ、ネット世代の無党派層である、20代30代の人々が結束して、強い政府を支持していくべきなのです。

しかし、優柔不断な菅政権を支持する気にはなれません。決断力、発信力のある人が国のトップにつき、その政府を支持する、ということがこれからの日本の戦略構築のためには必要なのでしょう。

 

 

この国の衰退を食い止めたい、ニッポンを復活させたい、経済って何なのかゼロから知りたい、という思いから、ドルーロにゃんはこのブログで政治経済を学んでいきます。

日本の衰退を食い止める方法は「ひとりでできる経済政策」で解説しています。

どうして日本は衰退してしまったのかの4回シリーズや、キホンのギモン解説集も見てみてください。

政治家や偉い人に任せず、日本の復活のために、ひとりひとりで行動を起こしましょう。そんな運動をブログからはじめていきます。

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