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安倍元総理の銃撃、本当に統一教会が原因なのか?敵対勢力による暗殺の可能性は?


安倍元総理の銃撃事件は、実行犯の私的な怨恨に原因があると報道されています。宗教にのめり込んだ母親により実行犯の家庭は崩壊したという、悲劇的なストーリーに端を発し、その怒りの矛先が宗教組織と支援者の一人であると考えられた安倍元総理に向かった、という筋書きです。

 

しかし、あまりにも出来過ぎた筋書きに感じられます。素早い供述、報道、統一教会の会見などは、このシナリオを印象付けようとする力を感じざるを得ません。殺人事件のひとつであれば、十分にありえるストーリーですが、今回は相手が一国のトップ。安倍氏の命を狙い得るものはたくさんいます。

あえて、何らかの勢力による陰謀的な「暗殺」だったのではないか、という視点で、この事件を見てみたいと思います。

 

本当に実行犯なのか

銃撃の体制、角度、などから、本当に山上の銃撃により安倍氏が致命傷を追ったのか、という疑問は、多くの識者やネット上で散見されています。歩いて近寄りながらの発砲であるため、安倍氏に的確に照準を合わせることが可能なのか。ましてや、心臓を狙い撃ちすることが可能なのか。また、高いところにいる安倍氏を下から山上が銃撃したら、今回のような銃創になり得るのか。などと、疑問点は多々指摘されています。

思い起こされるのは、ケネディ大統領の暗殺事件。実行犯とされたオズワルドとは別に、狙撃手がいたのではないか、という視点が多く投げかけられています。今回の銃撃も、安倍氏を狙った狙撃手が他にいたのではないか、と考える余地は十分にあるはずです。

 

本当に怨恨なのか

山上が自供したストーリーは、とても筋の通ったものです。実際、統一教会の会見を見ても、母親が信者であることは事実であり、信仰が理由で破産したことも多く報道されているようです。

しかし、唯一ストーリーにほころびがあるとすれば、山上の怒りの矛先が、家族や宗教組織ではなく、いきなり一国のトップに向いたことです。報道では、山上の安倍氏への怒りはさも自然な感情のように述べられていますが、あまりに短絡的な感情で、いささか統一教会への恨みとは矛盾してるように感じます。感情的なものとは異なる、なんからの人為的な作為や意思ががあったのではないか、と感じざるを得ません。

仮にこの感情が「社会全体への憤り」=「一国のトップへの憤り」につながり、安倍氏への銃撃は自然な思考だとしましょう。傾いた政治的な思想が高まった状態にあれば、同じく安倍氏を敵対視する勢力からの影響を受けやすい状態にあったと言うことができます。統一教会への怨恨に、他の勢力の意図が加わっていると考えると、この凶行にも納得がいきます。

さらに、山上が自衛官であったことは、銃撃のスキルを持っていたことを意味し、退官後の空白期間は、なんらかの勢力による高精度な銃撃技術を養成するための期間が、十分にあったことも意味します。

 

暗殺大国ロシア

安倍氏、そして日本と敵対する勢力といえば、まずはロシアと中国です。

ロシアはウクライナ侵攻後、日本からの制裁に反発する形で、日本との関係を断絶しつつあります。欧米や日本は直接参戦するわけではないものの、ソフト的なウクライナ支援を継続しており、ロシアはこのことを戦争に準じる行為とみなしています。

ロシアは暗殺に長けた国家です。敵対的な日本への対抗措置の一つとして、日本の防衛力を高めた、保守勢力の象徴である安倍氏を狙った、と考えることは自然です。もしくは、今後の「敵対宣言」として、日露友好に励んだ安倍氏を消した、と考えることもできます。

これらを背景として、安倍氏に反感を抱く山上が、ロシアの機関に養成されたか、もしくはロシアに焚き付けられて犯行におよひつつ、別の狙撃手が安倍氏を撃った、というシナリオが成立しうるのです。

 

最大の敵国、中国

暗殺を企てたのが中国である可能性もあります。ロシアと日本が戦争状態に突入することはなかったとしても、中国とは、何年先か何十年先かはわからないものの、衝突する可能性は極めて高いでしょう。

中国にとっては、「自由で開かれたインド太平洋構想」を打ち上げ、クアッドの結成を成し得た安倍氏は、中国包囲網を形成した盟主であり、絶対的な敵です。最近では、台湾有事の際に日本も介入すべきである、という発言もしました。

同時に、日本の世論を国防強化に向けて牽引してきた象徴的な存在であり、かつ自民党の重鎮として憲法9条改正の旗振り役であることから、排除したい対象であるに違いありません。

特に習近平総書記にとってみれば、就任から常に敵対し続けてきたトップ同士であり、自国が拡大政策を続けるなか、ことあるごとにメンツを潰され続けてきた相手でもあります。異例の3選を目指す習近平にとってみれば、自分の権威を揺るがしうる要素はできるだけ省いておきたいものです。

 

アメリカも味方ではない

安倍氏を狙う外国勢力は、なにも日本と敵対する中露だけではありません。日本の同盟国であるアメリカにもその動機はあります。

そもそも、アメリカにとって日本は同盟国ではなく、属国として扱っているのが本当のところです。アメリカは太平洋戦争で日本を下したことで、アジアでの日本の拡大を防ぎ、続く戦後は経済発展を遂げる日本に対し、貿易摩擦と呼ばれた圧力により、日本の産業や経済を抑圧し続けてきました。

安倍氏アメリカと緊密な関係を築きましたが、真の思いは「日本の本当の独立」であったと考えられます。憲法9条の改正も、自分の国は自分で守れるようにすること、そしてアメリカに生殺与奪を握られないことを目指していたはずです。

一方のアメリカにとってみれば、属国である日本がアメリカから真の独立を手に入れてしまえば、経済的な強要もできなくなってしまいます。日本国民の国防意識が高まり、憲法9条改正と防衛力の強化が進む中、日本が属国の地位から脱しては、アメリカにとっては不都合であるのです。

独立志向のあった安倍氏を政界から消し去り、同時に、岸田政権に対して、防衛力強化は認めるが、属国を脱することは許さない、というメッセージも込めたかもしれません。

 

また、来たるべき中露との世界大戦に向けて、日本の国民感情を煽ろうとしている、という見方もできます。ウクライナを見ればわかるように、アメリカが望むのは世界平和ではなく、戦争と、そこで得られる利益と、アメリカを盟主とする結束です。日中対立においても同様で、日本国民の感情をより中露に敵対的にし、世論に友好や妥協よりも対立を選ばせ、日中戦争を誘発しようとしているはずです。

もしも中露が安倍氏の暗殺に関与したなどというリークがあれば、世論の誘導にとっては最良、安倍氏の死によって日本の対中包囲網が弱まってしまうのではないか、という風潮になるだけでも十分なのです。

 

統一教会の撲滅が狙いか

しかしそんな理由なだけで、同盟国アメリカが暗殺を働く訳がありません。

安倍氏はトランプ前大統領と親密でした。次期大統領選ではトランプのカムバックもあり得ると予想されるなか、バイデン政権にとってみれば、アメリカファーストの外交政策を展開したトランプ氏と、その盟友たる当時の安倍首相が、国際政治を強くリードしていく絵は、消し去りたいものです。

そして、安倍氏もトランプ氏も関わりのあったとされる統一教会は、日米両国において、保守政治家を強く取り込んだ組織でありました。冷戦のさなか、反共産主義を掲げた信条を用い、多くの信徒をもつ統一教会の支持を得られることは、共産主義と対立する日米の保守政治家にとっては、非常にありがたいことだったのです。統一教会が、いかなる悪事に手を染め、どれだけ一国の政治決定を歪ませてきたかは推測の域をでないものですが、保守政治家の力の源になってきたことは確かです。

ちょうど、安倍氏、トランプ氏、という日米を代表する保守政治家は、いずれも政治の主流から引きずり降ろされようとしていました。彼らと敵対する勢力にとっては、その支持母体である統一教会は撲滅すべき対象です。統一教会が今回の事件の元凶だとされれば、組織の存在が世の中に裁かれ、勢力の弱体化を図ろうと考えることは、とても自然です。

そして、安倍氏をを引きずりおろそうとしていた敵対勢力が、国内、そして自民党内にいるのです。

 

 

国内の敵対勢力

自民党内は、保守的で最大派閥である安倍派に対し、首相の派閥である岸田派や麻生派などの「旧・鴻池会」で、大きく二分されています。安倍政権時は協力的であった安倍氏と麻生氏は、いまや自民党の主導権を争う対立相手へと成り代わっていました。

この二人の対立軸は多岐にわたります。麻生派も岸田派も「鴻池会」と呼ばれた、自民党内でもハト派・穏健派・平和主義者の集まりである派閥を源流としているのに対し、安倍派の「清和会」は、ハト派でかつて主流派だった鴻池会に対立すべく設立された派閥でした。故に同じ自民党であっても、保守と穏健という正反対の国家間をもった集まりが同居しているのであって、安倍氏と麻生・岸田首相の政策には、大きな隔たりがあるのです。

また、実際に政策を実行する立場にある霞が関の官僚も、この両派の対立とは無縁ではなく、むしろ対立を利用してきました。強い力を持つ財務省の官僚は、かつてより自民党本流の鴻池会とは関係が深く、財務官僚出身者も多く自民党の政治家となっています。財政再建のためには消費税は必要だと考える財務省は、その政策を実現すべく自民党に深く入り込み、消費税増税の批判をうけて短命に倒れていく内閣をよそめに、確実に政策を実現してきました。

「強い官邸」を目指した安倍政権は、官僚からの支配を脱却すべく、あえて財務官僚を遠ざけ、警察官僚を重用します。財務省の悲願である消費税増税は実現しつつも、彼らの影響力を排除し、財政再建を放棄し、積極財政の「アベノミクス」を実現したのです。

 

岸田政権により、アベノミクスは徐々に修正され、内閣や党のポストに安倍氏と遠い人材が据えられるなど、岸田・麻生の巻き返しが始まっていました。これから、自民党の2大巨頭であった安倍氏と麻生氏は、キングメーカーの座を巡って激しく対立していくことが予期されていたのです。また偶然か狙ったか、今回の事件により、警護部門であり、安倍政権下の霞が関で重用されてきた警察幹部たちは、みな責任を追ってその職から追い落とされることになっています。

 

誰が犯人なのか

ここまで整理すると、安倍氏を「消したい」と考えるのは、山上、ロシア、中国、アメリカ、国内では岸田・麻生、などあらゆる勢力があります。それぞれの勢力単体の動機は弱くても、いくつかの勢力が同調すれば、十分大きな動機になりえ、山上を後押ししたと考えられます。

事件のあとの動きを見るに、国内の反安倍派が徐々に利益を得始めている点は見逃せません。保守色の薄かった岸田首相が国葬の決定や憲法改正への意欲を見せ、安倍氏の威を借りて支持を高めようとしつつ、党内や霞が関での親安倍勢力の追い落としをはじめています。これらの動きから、事件には岸田首相や麻生氏が一枚噛んでいる、と疑う余地は十分にありそうです。

 

自民党と深い関係にあったとされる統一教会が責められることに矛盾を感じる人もいるでしょう。しかし統一教会の考えを想像するに、このくらいの批判程度であれば、政権政党とズブズブのこの組織は潰れることはない、という見込みがあるだろうことと、あえて批判を一手に受け、自民党にさらなる「恩」を売ろうとしているとも考えれます。

 

安倍氏の遺志とは

これらの推測は憶測に過ぎず、山上が単独犯である可能性のほうが説得力もあります。しかし、我々日本国民が意識しなければならないのは、常に国益を害する勢力が、日本を狙っているという事実なのです。国内勢力が政策実現のために繰り広げる権力闘争であっても、外国からのなんらかの干渉を受け得るものなのです。

江戸幕府末期、幕府と倒幕派が対立する背景には、当時の大国フランスとイギリスの対立があり、両国はそれぞれを支援していました。しかし、幕末の志士たちは大国による内乱の誘発を避けるべく、スムーズな権力移譲=倒幕を図ったのです。

今の日本人もこの歴史を決して忘れてはなりません。欧米とロシアの間で揺れ動いたウクライナの惨劇も繰り返してはなりません。大国の干渉を受けず、自国のことは自国で決める、という独立の覚悟が必要なのです。

それが、安倍氏の遺志であるはずです。