2019年、東アジアの政治的・軍事的な緊張は高まりを見せています。
北朝鮮による核・ミサイル開発と威嚇行為は止むことはなく、日米韓同盟の一員だったはずの韓国は、日本への過度な敵対行為を見せて北朝鮮に接近するなど、朝鮮半島の安定は損なわれています。
また中国は、南シナ海を一方的に占拠したり、香港や台湾へ併合圧力を加えたり、世界各国で軍事拠点や貿易拠点を手に入れるなど、世界中への影響力を強めようとしています。これを懸念する自由貿易の覇者アメリカは、貿易赤字問題と絡めて、中国と全面対決しています。
そんな中、冷戦時代に結ばれた、中距離核戦略禁止条約が失効し、アメリカ中国ロシアの三大国は、長距離ミサイルの開発を進めるなど軍拡競争が始まっています。
その三大国に囲まれた日本は、防衛をアメリカに頼るしかなく、アメリカからの無理な貿易交渉をうのみにするしかない、といった状態です。
世界大戦前夜、といっても過言ではない程の、大国間の対立と軍事的な緊張が東アジアに走っています。アメリカ中国ロシア、この3カ国が同時に対峙する唯一の場所は、東アジアなのです。もし次の世界大戦が起きるとしたら、東アジアは戦場となるでしょう。それなのに、日本人は危機感もなく、国内のスキャンダルで新聞テレビが賑わう日々。日本の周辺で何が起きているのか、日本はどう対応したらいいのか。今回もドルーロにゃんが考えます。
よろしくにゃ
なぜ東アジアで対立が起きるのか
なぜ北朝鮮が暴走し、韓国は反日をつらぬき、米中や米露が対立するなど、東アジアで緊張が高まっているのでしょうか。
そもそも、東アジアは、日米韓VS中露朝という二陣営の対立構造でできています。
かつて冷戦時代ではこの2チームが、資本主義陣営VS社会主義陣営、という対立関係にありました。社会主義国は自分たちの理想を世界中にひろめるため、世界中で「革命」の支援をしました。資本主義国としては革命が起こされては困るため、社会主義を絶対悪として、社会主義陣営と対峙したのです。
今もこの対立構造は理由を変えて残っています。社会主義が(ほぼ)滅びた現在、世界の経済や貿易の中心であるアメリカ。その地位をおとしめて世界貿易で利益を得たい中露は、軍事でも経済でもアメリカに挑戦しようとしています。そしてその三大国が接する場所である東アジアで、対立する構図となっているのす。
また朝鮮半島は、資本主義陣営と社会主義陣営がぶつかった朝鮮戦争により、いまだに北朝鮮と韓国が分断されたままであり、朝鮮半島を巡る大国間の対立は続いています。
世界中で対立する米露
さらに世界全体で見ると、アメリカとロシアは、各地で対立しています。
ヨーロッパで2000年代に進んだEUの東方拡大は、アメリカを中心とした自由主義や経済システムの拡大でもあり、ロシアにとっては脅威でした。なぜかといえば、ロシアにとってはヨーロッパは最大の貿易相手であり、そこから閉め出されることになっては国内経済に打撃を受けることになるからです。
同時にアメリカはNATOの枠組みにより、東欧にアメリカのミサイル基地を建設しようともしていました。表面上は、アメリカの敵、中東のイランから発射されたミサイルを、途中で迎撃するための基地です。でも実際のところは、ロシアがヨーロッパへ影響を拡大するのを阻止するため、アメリカによる威嚇の意味もあったのです。
そんな中、ウクライナでは2014年に、親欧米派と親露派で内戦が起き、(実はロシアが侵攻したとも言われる)、ウクライナ東部やクリミア半島が親露派政府として独立を宣言したのです。ウクライナ上空を飛ぶマレーシアの旅客機が親露派の武装勢力に撃墜されるなどの事件も起き、欧米とロシアの対立が一気に高まりました。
さらに中東では、シリアの内戦やイスラム国の掃討作戦を経た後、シリアに親露派のアサド政権が勝ち残り、イラクには親イラン派の政権が誕生しました。イランはアメリカの敵国であり、またロシアとも親しい国です。ということは、アメリカは中東での影響力を失い、ロシアの台頭を許してしまったことになるのです。そこで、アメリカのトランプ政権は、中東から親露・反米の国々を排除しようとしました。その行動として、オバマ政権か結んだイラン各合意をひっくり返してでも、イランを敵対視して排除しようとしているのです。
対立の歴史の東アジア
東アジアに話を戻しましょう。東アジアで大国が対立するようになったのは、実は冷戦からではありません。第二次世界大戦前まで時代を遡れば、朝鮮半島を舞台に、日本と中国、日本とロシアは常に対立していました。
日本は朝鮮半島や満州の資源、人口、市場を欲しがり、古代から朝鮮半島を属国としてきた中国と対立し、日清戦争が起きます。そして朝鮮半島を手に入れた日本と、貿易港のある沿岸部まで進出したいロシアが対立し、日露戦争が起きました。
古くは、7世紀に日本(大和朝廷)と中国(唐)が朝鮮半島で戦った記録まで残されているようです。つまり、歴史的・地理的にみると、朝鮮半島はいつも、大国たちがにらみ合い、対立する舞台になってしまうのです。
対立の舞台になった国が生き残る方法
そんな対立の舞台に立たされている韓国や北朝鮮はたまったものではないでしょう。大国間の対立の中で国を生き残らせ、国民を守らなければならない両国は、綱渡りのような国際戦略が必要となってきます。
北朝鮮の、核やミサイルをつかった恫喝外交は、独裁者の狂った思いつきのようみ見えます。しかし実のところはもっと戦略的です。米中露の大国間を、脅しては近づき、あちらについた思えばこちらにすり寄り、と揺れ動きながら、巧妙に北朝鮮に有利な条件を引き出しているのです。
韓国の、無礼な外交や反日姿勢は、理解し難いようですが、これも北朝鮮と同様に綱渡りの国際戦略のひとつでもあります。北朝鮮から国を守るにはアメリカと同盟を組むしかない韓国。しかし、発展する隣国中国の経済的な恩恵は受けたいから中国にも接近するし、小さい国家が生きていくには、アメリカと対立してでもハイテク産業で世界を席巻する必要がある。(そのため、韓国のサムスンはアメリカのアップルと対立した)それでも韓国経済は行き詰まってしまい、そんな国の政権が国民の支持を得るためには、アメリカに怒られてでも、反日によって力強いリーダーを演じる必要がある。こうして、日米韓同盟にありながら、必ずしもアメリカべったりではなく、アメリカと中露朝陣営の間を綱渡りのように揺れ動くのが、韓国の国際戦略なのです。
関連リンク:なぜ韓国は反日に走り、なぜ北朝鮮は核開発とミサイル発射をするのか。朝鮮半島の定められた宿命とは。
以上から、なぜ東アジアで対立が起きるか、という答えをまとめると、次のようになります。
東アジア、特に朝鮮半島が対立の舞台になってしまうことは、歴史的・地理的に仕方がないということ。北朝鮮の暴走や韓国の反日は、そうした環境が理由であること。そして、世界的な米中・米ロの対立があり、東アジアがその大国の接点になっていること。これが東アジアで対立が生じる理由です。
そして最近はその対立が激化し、東アジアが情勢は緊迫しています。なぜでしょうか。
三大国の軍拡
中露朝の優勢
日米韓チームと中露朝チームの対立ですが、ここ最近は中露朝チームに有利にはたらいています。
まずは北朝鮮問題。トランプ大統領は金正恩との会談を通して融和をアピールしています。会談直前までは、北朝鮮の相次ぐ威嚇により、米国が北朝鮮を攻撃する直前まで緊張が高まっていしたが、核ミサイルの廃棄にむけた会談の実施により、緊張は和らぎました。
しかし北朝鮮は相変わらず核とミサイルの開発を続け、ミサイル発射による威嚇もつづけています。アメリカは成果を急ぎすぎたため、北朝鮮に核ミサイル開発の猶予を与えてしまったのです。
さらに、韓国の反日問題。韓国が日米韓同盟から離れ、中露朝チームに接近しています。
そして、上記したウクライナ問題や中東問題。この地域ではロシアの影響力が強化され、アメリカの影響力が衰退しています。そこでアメリカは、あえて火種を撒き始めました。アメリカは敵国イランとその背後にいるロシアの影響力を排除するため、イラン核合意からの離脱し、イランとの敵対姿勢を鮮明にしました。また、日本のタンカーが何者かに攻撃されたことも、アメリカにとっては望ましい火種になっています。
関連リンク:日本のタンカー攻撃 誰が攻撃の犯人なのか?
アメリカも中東問題に本腰を入れるために、北朝鮮問題を早く解決したく、金正恩との融和をアピールしたがるのかもしれません。
対等ではない日米同盟
中露朝チームの優勢により、国防に危険が差し迫ってきた日本。しかし、敵はそれだけではありません。日本の同盟国アメリカも、着々と日本から利益を吸い取ろうと画策し続けているのです。
第二次世界大戦の敗戦によりアメリカに占領された日本は、二度とアメリカに反抗できないように、軍隊を奪われ、国防はアメリカが担うことになりました。それが明文化されたのが憲法9条と安保条約です。アメリカは、この規定に基づいて日本を守ってあげるかわりに、日本へ無理な貿易交渉を何度も持ちかけてきます。これは「日米貿易摩擦」と呼ばれ、1960年代〜80年代に激化しました。このアメリカの要求は現在でも続いており、日本は常に要求をうのみにするしか選択肢はありませんでした。
関連リンク:アメリカに2度負けた日本 〜どうして日本は衰退してしまったのか~
アメリカが安保を破棄したい理由とは?日本も再軍備が必要なとき?
韓国の反日問題、北朝鮮の核ミサイル問題、中国の海洋進出で困る日本。アメリカは日本が困れば困るほど、無理な要求を突きつけることができ、日本の利益を吸い取っていくのです。
日本の進む道
中露朝チームに国防を脅かされ、アメリカからも利益をむしり取られる日本。
日本政府としては、日米同盟の結束により、北朝鮮の驚異や影響力を高める中国と対抗していくというのが、現在の方針です。たしかに、今現在では、これが日本の国益に最も叶っているでしょう。
しかし、アメリカの強さも永遠ではありません。そしてアメリカに利益をむしり取られる余裕は、もう日本には残っていません。
これからの日本は、アメリカにべったりではなく、北朝鮮や韓国のように、大国に挟まれた小国として、大国間をうまく渡り歩いて行くべきなのです。時にはアメリカと一体になって、中国やロシアの軍事的脅威と対抗することも必要でしょう。しかしまた、中国に接近するふりを見せれば、アメリカは焦り、貿易交渉で譲歩を引き出したり、北朝鮮へ圧力を強めさせたりすることもできるるかもしれません。
しかし、日本の弱みである、「自国を守る力がない」ことは、アメリカに有利にはたらきます。日本が少しでもアメリカに逆らおうものなら、中国や北朝鮮の脅威にさらされてしまうため、アメリカのいいなりにしかなれないのです。
だからこそ、日本も強い軍事力をつけるべき時がきているのです。憲法9条の足かせがあろうがなかろうが、自衛隊には「自衛」ができるのですから、軍事力の強化を図ることはできます。そして、アメリカに頼ることのない、自立した国になり、自立した国際戦略を描くべきときなのです。
今回のドルーロにゃんの解説はここまで。
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どうして日本は衰退してしまったのかの4回シリーズや、キホンのギモン解説集も見てみてください。
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