いまさら聞けない経済の基本と疑問を、ドルーロにゃんと一緒に学びなおす、全5回のシリーズです。
景気が悪くなると、日銀が「金融緩和」するとか、いろいろな景気対策をしますよね。景気対策って、実際何をしているのでしょう。アベノミクスとか、金融緩和とか、マイナス金利って何なのか。「キホンのギモン解説集」の第3回は、この疑問を学んでいきます。
がんばるにゃ
学校で「政治・経済」の授業をやったはずだけど、イマイチ覚えていない人、しっくりこなかった人や、「暗記するだけじゃつまらない」という学生にもわかりやすいよう、ゼロから学んでいきます。
景気対策って何するの?①〜財政出動〜
景気が悪くなると、「政府」や「銀行」の出番が回ってきます。「個人」や「企業」がお金を使わなくなってしまっているので、景気回復のためにお金を使ってくれるのは、この2人だけです。
政府は、持ってるお金を使います。国債という借金をしてまでも使います。道路やダムを作ったり、高齢者や低所得世帯にお金を配ったり、みんなが車や家電を買いやすいようにお金をくれたりします。(かつてはエコカー補助金とか、エコポイントなんてものもありました)
政府のこの行動は、「財政出動」と言われたりします。
景気対策って何するの?②〜量的金融緩和〜
銀行のボスである「日本銀行」は、不景気になると、世の中にお金を供給するために、まずはたくさんお金を刷ます。しかし、ただお金を刷っただけでは、世の中にお金が流れていきません。ではどうするのでしょうか。
世の中の銀行は、いろいろな会社の株などをもっています。それを日本銀行は買い取ることで、代わりに世の中の銀行はお金を手に入れます。
銀行は手に人れたお金を、さらに増やして儲けようとするので、企業に貸し出します。やがて利子がついて返ってくるのを期待するからです。
こうして、日本銀行から世の中にお金がめぐっていくことになります。この行為を量的な「金融緩和」といいます。
景気対策って何するの?③〜金利で金融緩和〜
金融緩和には別のやり方もあります。それは「金利の引き下げ」です。銀行のボスである日本銀行(日銀)が、金利を操ることで、世の中にお金を供給することができるのです。
さっぱりわからにゃいにゃ
金利って何?
私たちは、お金を稼いだら銀行に預けるし、車や家を買うときは、ローンを組んで銀行からお金を借りますよね。そこには「金利」がつきものです。
銀行にお金を預けてあげたら、いつのまにか利子がついて増えていますよね。また、銀行からお金を借りたら、利子をつけて、最初より大きい額を返さないといけません。
なぜこのような金利が発生するのでしょうか。
銀行が個人からお金を預けてもらうためには、金利をつけたお返しが必要です。金利がつかないのなら、自宅に貯金しておいたっていいですからね。
一方、お金を貸してあげた相手から、お礼に金利をつけて返してもらえれば、銀行はもうけることができるのです。
この関係は、銀行のボスである日銀と世の中の銀行もー緒です。
世の中の銀行も、日銀にお金を預けます。すると「金利」がついてお金が増えます。また、世の中の銀行が日銀からお金を借りたら、「金利」をつけて返さないといけないのです。
金利を下げるとどうなる?
この日銀と世の中の銀行間の金利を操ることで、日銀は世の中にお金を供給することができるようになります。
世の中の銀行は私たちと同じように、銀行のボスである日銀に自分のお金を預けています。もし、預けているお金の金利がとっても低くなってしまったら、預けておこうという気はなくなります。(現在の私たちの銀行預金とー緒ですね。)
すると世の中の銀行は、とっとと日銀からお金を引き出して、企業に貸し出して、そのお礼である「利子」で稼いだほうが得だ、となるわけです。こうして、世の中にお金が供給されていくのです。
景気対策って何するの?④〜マイナス金利とアベノミクス〜
バブル崩壊後、日本は長い不景気となったため、世の中にお金を供給し、景気をよくする必要がありました。そこで日本銀行は、金利を下げ続け、ついにはゼロになりました。これを「ゼロ金利政策」と呼びました。
そして2016年、安倍総理に指名された日銀の黒田総裁は新たな手段に出ます。それは、世の中の銀行が日銀に預けているお金の金利を、さらに下げるというものでした。ゼロだったものをさらに下げたら、マイナスになってしまいます。
すると何が起きるか。日銀にお金を預けていると、金利がついて増えるどころか、マイナスの金利がつく(=お金がどんどん減ってゆく)のです。
すると世の中の銀行は、とっとと日銀からお金を引き出して、企業に貸し出し、そのお礼である「利子」で稼いだほうが得だ、となるわけです。すると、世の中にお金が供給されていき、好景気が訪れるはずだ、という作戦でした。
これを「マイナス金利政策」と呼びました。
同時に安倍政権は、ポイント1で説明した「政府」による財政出動も実行します。
以上の、①財政出動、②「日本銀行」による量的金融緩和、③「マイナス金利政策」、これらの景気対策をまとめて「アベノミクス」と呼んだのです。
しかし、「政府」が借金をしてまで財政出動することや、「日本銀行」がお金を供給しすぎることは、問題も指摘されています。次回はその問題を学んでいきます。
この国の衰退を食い止めたい、ニッポンを復活させたい、経済って何なのかゼロから知りたい、という思いから、ドルーロにゃんはこのブログで政治経済を学んでいきます。
日本の衰退を食い止める方法は「ひとりでできる経済政策」で解説しています。どうして日本は衰退してしまったのかの4回シリーズも見てみてください。
政治家や偉い人に任せず、日本の復活のために、ひとりひとりで行動を起こしましょう。そんな運動をブログからはじめていきます。