いまさら聞けない経済の基本と疑問を、ドルーロにゃんー緒に学びなおす、全5回のシリーズです。
学校で「政治・経済」の授業をやったはずだけど、イマイチ覚えていない人、しっくこなかった人や、「暗記するだけじゃつまらない」という学生にもわかやすいよう、ゼロから学んでいきます。
不景気だった日本を回復させるために、政府が「財政出動」を、日本銀行が「金融緩和」をする、ということは前回で説明してきました。
しかし、政府が借金をしてまでお金を使おうとしていることに、危険だという声もあれば、問題ないという人もいたりします。果たしてどちらなのでしょうか。第4回は、その両方の考え方の理由について解説します。
- 政府の借金により、日本経済にお金が回る
- お金を貸すばかで、人々がモノを買わなくなると、マズイ
- 海外に借金すると、もっとマズイ
借金は危険ではない?
借金まみれになるのは、「悪いことである」というのは誰もが思うことでしよう。でも、政府がする借金は「安全である」と考える人がいます。なぜでしようか。
借金なんてするもんじゃないにゃ
たしかに、わたしたち「個人」が借金をしすぎたら、利息も膨れ上がってしまい、返済するのが大変。せっかく稼いだ給料も、すべて返済に使われてしまい、家計は火の車になってしまいます。
しかし、日本経済、という視点に切り替えるとどうでしようか。
- 「政府」が借金をしたら、そのお金を貸してくれるのは世の中の「個人」や「企業」です。
- 「政府」は、借りたお金で道路を作ったり、年金をあげたりして、世の中の「個人」や「企業」にお金が入りいます。
- やがて、政府が借りたお金は、世の中の「個人」や「企業」に返さなければいけません。返すお金をどこから手に入れるかと言えば、「個人」や「企業」から得た税金です。
こうやって見ると、実は誰も損をしてるわけではなく、日本経済の中をお金がぐるぐる回っているだけなのです。これだったら問題はないですよね。問題になるどころか、お金が世の中をめぐるわけですから、「好景気」であるともいうことができるのです。
借金は危険?
それでも、政府の借金は危険である、という人もいます。
単に「借金はよくないことだから」という主張は、論外です。上で説明したように、日本経済全体で見たら、お金がぐるぐる回っているだけなので、誰も損をしていないからです。では、どんな場合に借金は危険となるのでしようか。
モノを買わなくなる危険
上の図は、大事な点が抜けています。それは、借金は「利子」をつけて返さないといけない、という点です。政府は「個人」や「企業」に借金を返す際、「利子」を付け加えて返さなければなりません。
そのお金はどこから調達するのかといえば、新たな借金や税金によって調達するのです。そのまた次にその借金を返す時には、また新たな借金をするか税金をあつめるしかありません。そんなことをしているうちに、日本の借金の額どんどん膨れ上がってしまうのですが、それが今の日本なのです。
ただ、借金が膨れ上がること自体は問題ではありません。何が問題なのかというと、「個人」や「企業」のお金が、どんどん国にお金を貸すためだけに使われていくことです。
経済が成長し、好景気になるためには、人々がお金を使うことが重要です。モノを買えば企業が儲かり、企業が儲かれば給料が上がって、さらにモノが買えるようになるはず。
しかしお金の使いみちが、モノを買うのではなく、国にお金を貸してばかりでは、企業のもうけは上がらず、給料もー向にあがらないままになってしまいます。そう、問題なのは「個人」や「企業」のお金が本来使われるべきところに使われない、ということなのです。
海外にお金が消えていく危険
さらに、海外から借金をした場合はもっと危険です。
もし、政府にお金を貸してくれる人が、海外の個人や企業だったらどうでしょう。
先ほどと同じように、国が「利子」をつけて借金を返すためには、また新たな借金が必要になります。そのために個人や企業は国にお金を貸します。もしくは、あらたに税金を集めます。
しかし、海外から借金をしているといいうことは、返済のため、それらのお金は海外に流れてしまいます。どんどん、日本にあるお金が海外に消えて行ってしまうのです。
幸い、日本政府の借金にお金を貸している人は、日本の企業や個人がほとんどです。
ただ、このままでは国の借金はまだまだ増え統け、そのうちそのうち貸してくれる人が足りなくなり、海外からお金を借りる必要がでてくるかもしれません。すると、日本人のお金が海外に流れて行ってしまい、「借金は危険」ということになるのです。
次回
政府や日本銀行が行う景気対策。そのために政府が行う借金には危険な側面がありました。しかし、日本銀行が行う金融緩和にも、危険が潜んでいるのです。
金融緩和のしすぎは危険?今はバブル?がわかるポイント2つ ~キホンのギモン解説集⑤~ - ドルーロにゃん、政治経済を考える。
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