いまさら聞けない経済の基本と疑問を、ドルーロにやんとー緒に学びなおす、全5回のシリーズです。
学校で「政治・経済」の授業をやったはずだけど、イマイチ覚えていない人、しっくこなかった人や、「暗記するだけじゃつまらない」という学生にもわかやすいよう、ゼロから学んでいきます。
「キホンのギモン解説集」の第2回は、よく使われる経済成長やGDPというワードは何なのか、経済成長は必要なことなのか、を学んでいきます。
- GDPや経済成長率は、使われたお金の量を表すもの
- お金の量は増えたり減ったりもする
- 銀行がカギを握っている
- 衰退しないためには、成長し続けるしかない
経済成長って何?GDPって何?
ニュースではよくこんな言葉が使われますが、難しくてよくわからないですよね。
GDPを日本語に訳すと、国内総生産といいます。簡単に言うと国内で生産されて売買されたモノの合計額のこと。言い換えれば、「個人」「企業」「政府」がやりとりした、お金の量のことです。
例えば、私たちがコンビニで買い物した額、車を買ったり額、政府が道路を作るために企業に支払った額など、日本で使われたすべてのお金の合計が、このGDPという数字に表れます。ですから、みんながお金を使ってモノを買うほどGDPは大きくなります。
だから、日本やアメリカのように豊かな国ほどたくさんお金が使われるので、GDPは大きくなります。つまり、その国の経済規模を計る数字だということができるのです。
もし、去年より今年の方がお金が使われると、去年のGDPより今年のGDPは大きくなります。それらを見比べることで「経済」が「成長」したということができるわけです。
その前後の比率を「経済成長率」と言います。
もし景気が悪くなって、世の中でお金が使われなくなると、使われたお金の合計であるGDPは去年より小さくなります。そのGDPを比較した経済成長率も、小さくなるわけです。
お金は増えたり減ったりする?
GDPが増える、もしくは経済成長する、といわれる時は、世の中で使われるお金の量が増えている時です。そんな時は、「個人」がモノを買い、もうかった「企業」が給料を上げ、さらに「個人」がモノを買うようになる、という好循環が起きています。まさに「好景気」と言われる状態です。
前回は、「個人」「企業」「政府」の3者の間でお金が循環しているかどうかが、好景気・不景気の正体である、ということを解説しました。
経済って何?不景気とは?がわかるポイント3つ ~キホンのギモン解説集①
しかし実は、社会のお金の量そのものが増えたり減ったりすることもあるのです。経済には4人目の登場人物がいて、この人物の存在がお金の増減を担っています。
銀行が、お金を創り出す
その4人目の人物とは「銀行」。銀行は、経済で次のような役割を果たしています。
銀行の役割
- まず、「個人」が稼いだお金を貯金します。
- 銀行は預かったお金を「企業」に貸します。
- 企業は後で、お金を銀行に返します。その時に、貸してくれたお礼として「利息」をつけます。
- この利息が銀行のもうけになります。お金を預けてくれた「個人」にも、そのもうけを利子として分けてくれます。(今はお金を預けててもほどんど利子はつかないですけとね)
重要なのは、ここから。
「銀行」は、「企業」に貸したお金が返ってくる前に、次々とほかの企業にお金を貸し出します。これが、お金を増やす仕組みなのです。
なぜそんなことができるのでしようか。いま世の中で「個人」が100円だけ持っていたとしてシミュレーションしてみます。
お金が増える仕組み
世の中にお金が100円あります。
- 「個人」であるドルーロにゃんが「銀行」に100円を預けます
- 「銀行」はその100円を「企業A」貸します。(企業からの利子で儲けたいので)
- 「企業A」は、お金を現ナマでもっているわけにはいかないので、銀行に預けます。
- 「企業A」にとっては自分の口座に持っているし、銀行としては企業Aから再びお金をもらったことになります。ふたりとも「100円持ってる」と言うことができるのです。
- それをもとに、銀行は「企業B」にも100円を貸すことができます。
- 結局、世の中のお金は100円しかなかったはずが、200円に増えてしまったのです。
銀行の「信用創造」でお金が増える
このようにして世の中にあったお金が、元あったより増えてしまいました。こんな魔法のようなことが起こせるのが、「銀行」という登場人物の存在なのです。この現象を「信用創造」といいます。
もし世の中が好景気で企業がもうかっているのなら、銀行は、どんどん企業にお金を貸して、返済される利子で儲けたいと考えます。そうやって貸せば貸すほど「信用創造」により、世の中のお金は増えていきます。
逆に、世の中の景気が悪く企業が儲かっていなかったら、銀行は、貸したお金が返ってこない懸念を抱き、企業にお金を貸さなくなります。するとー転して世の中のお金は一気に減ってしまいます。これを「信用収縮」といいます。
好景気だと社会全体のお金が増え続け、不景気になるとー転して減り続ける。そして私たちの生活が急激に豊かになったり貧しくなったりする。私たちが資本主義経済で生きる以上、この恐ろしい仕組みの中で暮らさなければならないのです。
成長は必要なのか
世の中ではたまに、「日本はもう成長を追い求めなくてよい」とか、「成長よりも安定を目指すべきだ」という人がいます。それは正しいのでしょうか
のんびりいきたいにゃ
かつて、太平洋戦争により、焼け野原になって何もなくなってしまった日本は、復興を遂げ、世界第2位の大国になり、文字通り「成長」を遂げてきました。しかし平成になって、バブル崩壊による不景気が長続きし、人口も減り始めます。なんでも成長してきた時代が終わった上に、過度な受験戦争や就職難、過労死やサービス残業などの社会問題も噴出し、「無理に成長を求めなくてもよい」という考え方がでてきたのでしょう。
でも、はっきりいいます。この考え方は問違っています。
みんながお金を使わなければ、自分の手元にもお金は人ってきません。買い物もできず、モノが売れずに企業も儲からなくなります。すると給料も上がらず、ますます手元にお金が人ってこなくなります。
みんながお金を使うということは、好景気だということでもあり、毎年GDPが増えるということでもあり、経済成長し統けるということでもあります。逆に、みんながお金を使い統けなければ、経済成長し続けなければ、日々の生活は苦しくなるだけなのです。
そう、資本主義には、「成長」か「衰退」かしかありません。「安定」など存在しないのです。これが払たちが作らす、資木主義の厳しい現実なのです。
この国の衰退を食い止めたい、ニッポンを復活させたい、経済って何なのかゼロから知りたい、という思いから、ドルーロにゃんはこのブログで政治経済を学んでいきます。
日本の衰退を食い止める方法は「ひとりでできる経済政策」で解説しています。どうして日本は衰退してしまったのかの4回シリーズも見てみてください。
政治家や偉い人に任せず、日本の復活のために、ひとりひとりで行動を起こしましょう。そんな運動をブログからはじめていきます。