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夫婦別姓は何が問題なのか。岸田政権で夫婦別姓は導入されるの?

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選択的夫婦別姓の話題が、日に日に取り上げられるようなっています。世論調査では、夫婦別姓に賛成する人が多数を占める一方、「日本の文化・慣習」「家族観」といった理由から、根強い反対意見も少なくありません。しかし実際のところ、世の中でこの問題を正しく理解できている人は、ほとんどいないのではないか、とドルーロにゃん(ブログ主)は考えています。

〈2021.10.7投稿〉自民党総裁戦を経て、保守と言われた自民党内でも、夫婦別姓賛成派が多いことがわかりました。岸田新総理も、安倍氏を配慮して慎重な立場を表明していますが、もとは賛成派です。果たして、保守の自民党夫婦別姓に舵を切ったら、ついに日本の国家観は崩壊してしまうのでしょうか。

〈2021.3.5投稿〉丸川大臣(男女共同参画社会担当大臣)は夫婦別姓反対派で、「男女平等を推進する立場で許されない!」と批判されているようですが、この夫婦別姓問題は、男女平等と絡めていい問題なのでしょうか。

今回も、ドルーロにゃんと一緒に、何が問題なのか考えてみましょう。

f:id:dolleuro-seikei:20190404181120j:plainよろしくにゃ

 

 

賛成派の論点は的外れ?

夫婦別姓賛成派がよく使う理由としては、結婚した時に名字の変更手続きを女性だけが強いられるのは平等ではない、とか、旧姓使用が社会的に認められているのだから姓を変えずに済むようにすればいい、というものです。

しかしこの理論は、全くの議論のすり替えとしか言いようがありません。例えるなら、「交通事故が多いのは良くない」から、「自動車は禁止にしてしまえばいい」と言っているようなものです。現実には、交通事故を減らすために、日本では、違反による罰則を厳しくしたり、道路の改修やガードレールを設置したり、歩道や自転車道を整備したりと、ひとつひとつ対処してきました。もちろん、自動車の廃止などという、社会の大変革は選択していません。

女性の姓について言えば、名字の変更や、旧姓使用を簡略化できるような法整備をすれば対応できるわけです。「男女平等」を理由に夫婦別姓を主張するのは、筋違いと言わざるを得ません。むしろ賛成派からは、それを通り越した別の目的を感じさえします。

いやいや、面倒くさい制度整備をするなら、いっそのこと夫婦別姓を導入してしまえば簡単ではないか、という人もいるでしょう。確かにそれもそのとおりですが、保守派のいうように、夫婦別姓導入が社会を揺るがす大変革になってしまうとすれば、ことは大問題です。

 

日本の伝統・慣習は崩壊するのか

保守派は、日本の伝統が壊れてしまうからと、夫婦別姓には反対しています。だとしたら、果たして夫婦別姓賛成派は、日本社会を破壊する反政府勢力なのでしょうか。(たしかにリベラル勢力を称する一部には、某国を利するよう活動するものもあるようですが。。。)

この保守派のいう「日本の文化・慣習」という意見には、ピンとこない人が多いのではないでしょうか。この意味するところがハッキリしないために、いまいち理解が深まらないのです。しかし本当のところは、その保守派でも正しく理解できている人は少ないのが実情です。

結論からいうと、夫婦が別姓なだけでは、日本社会は破壊されません。問題となるのは、その後。別姓の夫婦の間に生まれた子供の姓です。子供の姓が何を名乗るかで、家の継ぎ方はがらっと変わることになるのです。

子供の姓を自由にしてしまったとき、すなわち家の継ぎ方を自由にしてしまったときに、はじめて日本社会は大変革に直面することになるのです。

その、家の継ぎ方とは、いったいどういうことでしょうか。 

 

「家系」のない社会はなく、世界の主流は男系

家族・一族というものを社会的にを捉えると、男系(父系)、女系(母系)という区別をすることができます。これは、家を継ぐのは誰か、子供は父と母のどちらの姓を名乗るか、という視点によるものです。

この視点から見ると、明治以前の日本古来の社会も、世界のあらゆる文明・民族も、男系社会が主流です。子供は父方の姓を名乗り、父方の姓が連綿と受け継がれる社会システムをとっているところが多数を占めます。具体的にいうと、自分が鈴木なら父も父方の祖父も鈴木だが、母は旧姓佐藤、父方の祖母は旧姓高橋、といったイメージです。

ジェンダーの先進地域であるヨーロッパでも、多くの家系・王族などでは男系継承です。

しかし例外があり、男系で継いできた一族であっても、女系が家を継承することがあります。キリスト教社会では教義的に一夫一婦制であるため、一族に男子に恵まれない場合が多々ありました。この場合、「婿」を迎えた女子に家を相続させます。つまり女系継承です。しかし日本の「婿」と違うのは、その子供は婿に入った父の姓を名乗り、母の一族としてではなく、父方の一族としての名を冠するのです。女系継承は母の1代で終わり、子は男系継承されてゆくのです。

これが王族であったりすると、この子供から王朝名が変わり、その新しい王朝が男系継承のもと連綿と受け継がれてゆきます。例えば、イギリス王室を継いだ、女子であるヴィクトリア女王は、婿を迎えことで家族の姓が変わり、王朝名も「ハノーヴァー朝」から「ウィンザー朝」へと変わりました。

 

これら男系とは反対に、母方の姓を子孫が名乗るのを女系といいます。この制度とった民族も少数ではありますが、人類の歴史の中で存在するようです。

 

こうしたことから、世界的に多くの社会においては、男系か女系のいずれかで一族が引き継がれていており、この概念のない民族はあまり見られません。特に文明社会の大半は男系継承の社会です。このことから、「家系」の放棄を意味する、子供の姓の自由を主張する者がいるならば、かなりの「異端者」と言わざるを得ません。家の継ぎ方を無秩序にし、社会から「家系」という概念を放棄することになるのです。

 

夫婦別姓は本来、不自由

しかし男系社会でも、夫婦別姓を実現している国や地域もあります。具体的には、自分と父は鈴木でも母は佐藤を名乗り続ける、ということです。例えば朝鮮民族などがそうで、実は、明治以前の日本もそうでした。

しかしこれは「家族や夫婦の多様性」のためではありません。目的は全くその逆です。これらの社会では、一族の姓を名乗れない妻に相続権はなく、「よそから嫁いできた者には家を継がせない」という意味を持った、極めて封建的な男系システムを意味しています。

ですから、「夫婦別姓=自由や平等」という視点は、間違ったものであって、賛成派も保守派もみな勘違いしているものなのです。

 

問題は夫婦の姓ではなく、子孫の姓

日本は明治になり、欧米の思想を取り入れ、嫁いできた女性にも一族の性を名乗らせ、妻にも相続権を与えることになります。それから150年経った今。もし妻に別姓を認めても、現代社会においては、過去の封建社会のように、妻の相続権を認めないなどいう制度にすることはないでしょう。したがって、夫婦別姓をとったところで日本社会が変容することはないでしょう。

問題は、子供が名乗る姓です。もしも父方の姓でも母方の姓でも自由に選べてしまったとしたらどうでしょう。たとえば、母方の祖父は伊藤、祖母は田中、母は伊藤、父は山田だが、子は伊藤といった状態が起きます。男系をとる家族と女系をとる家族が混在し、もはや姓だけでは「一族」を把握することが不可能になるでしょう。

いやいや、日常で「一族」なんてものを意識することなどないし、別に困ることもないのでは?。。。たしかに、そうも思えます。しかし、世界の潮流であり、日本も1000年以上続けてきた男系システムを捨て、さらに男系・女系のいずれでもなく、「一族制度」すら捨てるという判断は、そんな軽い考えで決定して良いものでしょうか。

いまでも、名家やその筆頭たる皇族では、この一族制度を重んじます。もし日本社会で男系システムが撤廃されようものなら、「一族」というものは意味を持たなくなります。極端な話、皇族の女子と結婚したら、誰であってもその子供なら天皇になることすらできてしまうのです。今話題の、皇族を騒がせる「あの人」との間に生まれた子でさえも。

 

私たち国民は、正しい理解と議論を

子孫の姓の自由も含んで、夫婦別姓を主張する勢力があるとすれば、これは完全に、日本社会を破壊しようとするものです。どこぞの国と繋がっているやもしれません。その勢力がいる限り、夫婦別姓導入を安易に進めてはいけません。その中には、議論をすり替えて「男女平等」を盾に政府を攻撃しようとする者もいるかもしれません。

夫婦の姓は自由でもよく、子孫は男系継承を続けるべき、という正しい理解が広まると良いですね。岸田政権と自民党にも、この事実が伝わり、勘違いの理解を改めてもらえることを願います。

 

 

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どうして日本は衰退してしまったのかの4回シリーズや、キホンのギモン解説集も見てみてください。

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