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イージスアショア配備中止。反対派の正体は。政府の本音は。

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2020年6月15日、イージスアショア配備計画の中止が発表されました。候補地選定のずさんさに始まり、住民の安全が確保されないこと、それをクリアするには膨大な費用がかかることなど、政権の非を責める声は止みません。しかし、日本を北朝鮮や中国のミサイルから守るために欠かせないはずの陸上イージスが中止に追い込まれることは、日本の国益にとっては損失でしかありません。

配備を中止させ、日本の国益に損失を与えたいのは一体誰なのか。ニュースでは言わない、日本政府の本音はどこにあるのか、考えてみましょう。

 

 

反対派の正体は

配備に反対する声の代表的なものは、計画地の近隣住民によるものです。具体的には「自分の街が敵からの攻撃の対象になる」であるとか「迎撃ミサイルを発射した際のブースターが落ちてくる」といったものです。メディアはこの意見を「住民の命に関わる見過ごせない問題」だとして同情を煽るように取り上げますが、もしイージスアショアが配備されなければ、東京をはじめとする都市の住民の命が、敵のミサイルの恐怖にさらされ続けるという事実を忘れてはいけません。だから、「命が大事」というメディアの論法には無理があり、意図的な情報操作と言えるでしょう。この問題は国全体、国民全体の命に関わる問題として、正しくとらえる必要があるのです。

メディア含んだ反対運動が繰り広げられるということは、反対する人は地域住民だけではないと考えるべきでしょう。もちろん近隣住民の恐怖は理解できるし、防衛省の職員の不手際も非難されるべきものですが、国家と国民の命と比較できるレベルではありません。

計画反対を叫んできたのは、まずは安倍政権を倒したい野党。そして政権批判で視聴率を上げたいメディア。そして最も重要なのは、日本の防衛力が低下して喜ぶ、北朝鮮、中国、ロシアの存在です。日本人の多くは意識が向いていないようですが、いま世界では、米中露は経済的利益のために覇権を競い合っていて、その大国が東アジアで接しています。朝鮮半島や日本列島を最前線として、日米と中朝露が軍事衝突しそうでしない、緊張した状態でにらみ合っているのです。

そんな環境下でのイージスアショアの立ち位置はというと、建前は迎撃ミサイルですが、ミサイルの発射ならどんなものでもできるわけで、これらの国を攻撃することもでき、日本にとっては対立関係を多少は有利にできるものでもあるのです。それが配備中止になるならば、中朝露にとってはメリットでしかありません。

つまり、この配備計画の中止によって、中朝露はもとより、メディア、野党により国民の命が危険にさらされることになります。知ってか知らずかはわかりませんが。これらが裏で繋がっていないことを祈るばかりです。

 

日本政府の本音は

日本の国防にとって重要なはずだったイージスアショアですが、住民の反対や防衛省批判の前にあっさりと計画を中止してしまいます。実は、この中止したタイミングを考えると、日本政府の隠れた本音も見えてきます。その本音とは、信じられないことに「本当は配備したくなかった」というものです。

イージスアショアはトランプ大統領の要求により、最新ステルス戦闘機F35とともに、多額の国家予算をつぎ込んでアメリカから購入するものでした。当初よりこれらの防衛装備は必要性などが疑問視されていました。迎撃ミサイルはイージス艦に配備されているし、次世代戦闘機の導入については、欧州との共同開発や国産戦闘機の開発も目指していたのです。しかし、アメリカの圧力により日本の希望は吹き飛び、本当は買いたくなかったのに、アメリカから多額の防衛装備を購入することになったのです。

そもそもなぜアメリカから買わなければいけなくなったかといえば、それはアメリカからの貿易圧力によるものでした。トランプ大統領は就任時より、貿易面では諸外国に厳しい姿勢をとっていました。特に対象とされたのは、貿易赤字の大きい日本と中国でした。軍隊をもたない日本にとっては、アメリカは日本を敵から守る守護神。気を損ねるわけにはいかず、アメリカの要求にしたがって防衛装備を大量に買うことになりました。一方中国は、アメリカと世界の覇権をかけて貿易戦争の道を選んだのです。

こうして契約に成功したトランプ大統領は上機嫌になり、日本との関係も良好になったのですが、折しも、大統領選挙が近づくアメリカでは、黒人差別事件とその反対運動が激しくなり、白人至上主義者のトランプ大統領は支持を落としています。日本に政府は、貿易圧力をかけてきたトランプが大統領選挙に落選するというかもしれないという見通しから、配備計画への批判を口実にして、トランプ大統領との約束を反故にするチャンスだととらえたのです。

 

日本の立ち位置

安倍政権は、配備を進めれば反対され、中止を決定すれば責任を取れと責められます。しかしこの批判は的外れです。私たち日本人は、日本がおかれた状況をしっかり認識しなければいけません。中朝露の脅威を前にした日本は、アメリカに守ってもらうために、アメリカの無理な要求を聞かざるを得ない、という苦しい日本の立ち位置に置かれているのです。

関連リンク:

【第4回】アメリカに2度負けた日本 〜どうして日本は衰退してしまったのか~

アメリカの言いなりになるしか選択肢のなかった戦後日本。必ずしもそれは日本の国益に叶ってきたわけではなく、今回も過剰な防衛装備を購入するハメになっていました。ここで安倍政権はトランプ大統領の失墜をいい機会と捉え、アメリカから距離を取る、という賭けに出たわけです。

アメリカ一強の時代であれば、アメリカ追従戦略をとっていればすべてがうまく行ったのですが、今や中露の力が増大し、東アジアで戦争の火種がくすぶっています。近い将来、日本や朝鮮半島を大国間の戦場にされることだけは避けなければならないのです。だからこそ日本は、アメリカ追従だけでなく、中国やロシアの顔色も伺いながら、どっち付かずに狡猾に立ち回る必要があるのです。安倍政権がそこまで覚悟しているかはわかりませんが、今こそ、日本人の意識と外交戦略の転換が必要になっているのです。

関連リンク:緊迫する東アジア。なぜ日韓関係が悪化し、北朝鮮は暴走する?米中貿易戦争、米中露のミサイル開発で、日本の安全保障はどうなる?

 

 

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