ドルーロにゃん、政治経済を考える。

ドルーロにゃんが、イチから政経を学んで、ひとりで政策をやってみるブログ。

2回目の米朝会談、失敗?成功?〜米朝中日の狙いとは?〜

先日、二回目の米朝首脳会談が行われました。マスメディアは「交渉決裂」といい、世の中的には失敗に終わったというのが一般的な印象のようです。
しかし、ドルーロにゃんは違います。


ドルーロにゃん:会談はアメリカにとっても、北朝鮮にとっても成功だにゃ!
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なぜでしょうか?

失敗こそが成功?

実は、アメリカも北朝鮮も、朝鮮半島を舞台に睨み合っている方がお互いに都合がいいのです。北朝鮮を取り囲む、韓国、アメリカ、中国、ロシア、日本は、「朝鮮半島の平和」「東アジアの平和」のためにあらゆる交渉をしてきたはずなのに、本心は平和を望んでいないとはどういうことでしょうか。

アメリカの狙いは、同盟国が頼ってくること

アメリカの世界戦略はただひとつ、世界中の富をアメリカに集めることです。
アメリカは世界一の強さを誇る軍隊をもち、世界中の国々と同盟を結んで軍を駐留させています。日本や韓国もその国の一つで、強力なアメリカ軍によって、核開発を進めてミサイルを乱発する北朝鮮から守ってくれているのです。

そんなアメリカも、タダで守ってくれるわけではありません。
日本には、国を守る引き換えに経済的な要求を突きつけてきます。アメリカ製品が日本で売りやすいように関税の引き下げを求めたり、アメリカの企業が日本で商売しやすいように、日本経済の構造を変えるように求めてきました。
例えば、金融。アメリカの保険会社が保険を日本に売りつけたい。だけど郵便局の「かんぽ」が強すぎて勝てないから、郵便局を解体してしまえ、ということであの有名な郵政民営化となりました。(理由はもっとたくさんありますが)
それから、ハンドルは左で車体もデカくて日本の狭い道にはなじまないアメ車。遥か昔にアメ車の関税はゼロにしてあげたのに、売れ行きが悪いからと、もっと輸入しろと主張したこともありました。

でも日本は軍隊がなく自分の国を守れないから、アメリカに守ってもらうためには、言うことをきくしかないのです。

もし北朝鮮が平和な国になり、日本にとって全く脅威がなくなってしまったらどうでしょう。日本はアメリカ軍を必要としなくなるでしょう。すると、アメリカも日本に経済的な要求を突きつけることができなくなるのです。
アメリカにとっては、北朝鮮が悪い国でいて、同盟国が困ってくれたほうが都合がいいのです。

北朝鮮の狙いは時間稼ぎ

世界一の軍事大国アメリカと長年対立してきた小国の北朝鮮は、常にアメリカに滅ぼされる危険と隣り合わせでした。北朝鮮の目的は、アメリカに滅ぼされないような強い国になることなのです。

そんな北朝鮮は、核ミサイルさえ持っていればアメリカは攻めてこないだろうと考えています。なぜなら、アメリカが攻めてきても、壮絶な破壊力を持つ核ミサイルを打ってしまえば、アメリカを国ごと滅ぼすことすらできてしまうからです。
近年ようやく核とミサイルの開発に成功した北朝鮮ですが、アメリカを滅ぼすだけの核ミサイルを用意するには、もっと時間を必要としています。だから量産が成功するまでは、アメリカに攻められないように時間稼ぎができればいいのです。

会談こそ、もの別れに終わりましたが、関係は悪化させずに再会を匂わせる素振りも見せました。会談後にアメリカは、韓国との軍事演習を取りやめるなど、北朝鮮のご機嫌とりもしていることから、時間稼ぎは成功したと言うことができるでしょう。

アメリカとの対抗に利用する中国

朝鮮半島問題とは何か?ときかれて、国ぐるみで犯罪者みたいな北朝鮮をどうにかすることだ、と考える人は多いでしょう。しかしそれでは視野が狭いと言わざるを得ません。
一番大事なことは、朝鮮半島アメリカと中国という、世界の2大勢力がぶつかり合うところだ、ということなのです。

世界中の経済はアメリカを中心に動いていますが、最近の中国はそれに対抗しようとしています。

アメリカは日本や韓国を自分の陣営につなぎとめておきたいし、これ以上中国を拡大させないよう、東アジアで軍隊を展開し、睨みを効かせておく必要があります。
一方中国は、そんなアメリカの力が拡大することを恐れています。万が一、アメリカが北朝鮮を滅ぼうようなことがあれば、そのアメリカ軍が、北朝鮮を占領し、その北朝鮮と国境を接する中国の目の前までやってくるということになります。
それを避けたい中国は、北朝鮮が滅んでしまうことがないよう、北朝鮮アメリカを刺激するようなことはやめてほしいわけです。北朝鮮は中国のそんなお願いを受けて、中国のためにアメリカへの刺激をやめてあげる、その代わりに経済的な支援をしてちょうだい、と都合の良いおねだりをします。中国にとっては北朝鮮アメリカ軍からの防波堤となってくれれば満足なので、中国はそのおねだりに応えるのです。

一方で、北朝鮮アメリカと仲良くなってしまっても中国は困ります。北朝鮮を助けてくれる唯一の国は、今まで中国しかいなかったので、中国にしてみれば北朝鮮は都合の良い言いなり、「子分」みたいなものでした。しかし北朝鮮アメリカと仲良くなった挙げ句、アメリカ軍をせき止める防波堤としての役目を果たさなくなってしまったら、やはり中国は困ります。
中国にとっては、北朝鮮が核やミサイルでアメリカを刺激し続ける、危険な国であったほうが都合がいいのです。



そんなふうに、厄介な国「北朝鮮」を都合よく利用してきた中国ですが、いよいよそういうわけにも行かなくなってきます。核実験や日本を通過するミサイル発射を乱発し、アメリカや日本の我慢は限界に近づいていました。
国連の議決により、世界各国が北朝鮮への経済制裁を発動したため、いままで北朝鮮をなだめるために経済的な支援をしてきた中国も、経済制裁に加わるしかなくなります。

アメリカとの緊張が高まるのに、中国がなだめてくれなくない。制裁が続くと経済も大ピンチ。
そこで北朝鮮は、自分からやってきたのです。核開発を考え直すから、滅ぼさないでね、経済制裁もやめてね、と。しかし、核ミサイルを持つことが国を守ることだと確信している北朝鮮が、本心でそんなことを思ってはいないのです。


安心した日本

今回の交渉決裂を一番喜んでいるのは、実は日本です。かつては日本の空を北朝鮮のミサイルが飛び交っていたのに、日本は朝鮮半島の平和を望んでいないのでしょうか?


  • 孤立しないで済んだ

日本人を拉致し、日本にミサイルを飛ばし、核開発をして脅し続けてきた北朝鮮。これらの開発を完全にやめるのであれば日本の安全は守られるでしょう。しかし北朝鮮にそのつもりはなく、開発をちょっとやめることでアメリカと仲良くなり、経済制裁を解除してもらおうというのが本心です。
なぜなら、核ミサイルさえ持っていればアメリカは攻めてこないだろうと確信しているからです。

こんな状態でアメリカと仲良くなられては日本は困るのです。ましてや、北朝鮮の後ろ盾である中国はもとより、韓国もアメリカも北朝鮮と仲良くなろうとしている中、北朝鮮と敵対する日本だけ取り残され、国際上孤立してしまう危険があったのです。


  • 中国と対抗するために

実は、日本にとっての一番の脅威は、北朝鮮ではなくて中国なのです。
日本は以前、アメリカに次ぐ世界第二位の経済大国で、高品質な電気製品やハイテク製品を世界中に輸出し、その圧倒的なシェアを誇っていました。しかしその座は急成長した中国に奪われ、日本経済は追われるようにして力を失ったのです。
さらに中国は軍事力の強化を図り、南シナ海の島を勝手に占領して要塞化したり、日本の尖閣諸島を奪おうとまでしています。中国海軍にこれらの海を支配されるということは、日本の船の通行を阻止される可能性もあり、日本の貿易は大ピンチに陥るのです。

会談は決裂し、いままでと同じ状況が続くということは、米中の睨み合いもつつということ。日本を脅かす中国に対し、同盟国アメリカが睨みを効かせてくれていれば、日本にとってはとりあえず安心というわけです。



今後の交渉の行方はわかりませんが、現状こそが周辺国が望んでいる状態であるかぎり、しばらくこの状態は変わることがないでしょう。